しゃべってないで書いたら日記〜店主の身に起きたことそのまんま日記〜
2018年02月10日
間違い
もう30年くらい前になる。父が交通事故にあった。仕事帰りに同僚さんに車で送ってもらう途中、お酒を飲んで助手席で眠りこけていたそうだが、同僚さんも運転しながら眠りこけたのか?、止まっているトラックに突っ込んだのだそう。運転手さんと父は肋骨を折って入院した。一人暮らしをしていた私は、仕事が休みの日に弟の車に乗せてもらってお見舞いに行った。弟の車は白のセダンだった。車種はなんだったかわからない。昔、よく車の中にプラスチックの受け皿みたいのが置いてあって、靴を脱いでそこに置くという、とっても日本的な乗り方が見受けられたが、弟もそれに従っていたので、私は「変なの」と思いながらそれは言わずに靴を脱いで助手席に乗せてもらった。病室で寝ていた父は私たちの顔を見るなり何か買い物を頼んだ。なんだったのか覚えていない。それで二人して買い物に出た。病院の玄関で弟が「ここで待ってて。車出してくる」と言った。しばらくするとスーッと目の前に白のセダンが止まったので私はドアを開けた。すると助手席にパンがいっぱい入った紙袋が置いてある。「あれ?こんなんいつ買うたん?」と言いながら紙袋を抱えて助手席に座り込んで、初めて運転手の顔を見て驚いた。全然知らないおじいさん!おじいさんは怯えた顔で「あんた誰や!」と叫んだ。わわ、となって外を見たら、その車に乗るはずだったおばあさんが怯えた顔で立っていた。「すみません!」と言って車から降りたら、すぐ後ろまで車を回していた弟が降りてきて「誰の車に乗ってんねん」と言った。買い物をして病室に帰ると、弟は父にその話をした。肋骨が折れている父は「痛いから笑わさんといてくれ」と言いながら体を揺すって苦しそうに笑っていた。